ドラゴンレール大船渡線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(7)

IMG_1102h.JPG

鉄道乗蔵はJRや私鉄路線の全てを含めた日本の鉄道全路線の乗りつぶしを目指している。


今回のシリーズ記事では、2005年8月に大学の夏休みを利用して、当時、JR北海道で販売されていた北東北3県の新幹線を含むJR線が乗り放題の「みちのくフリーきっぷ」を利用して東北地方の乗りつぶしを行った時の様子を紹介している。


2005年8月9日。
札幌出発4日目(全行程5泊6日)。


目次


1.大船渡線とは


大船渡線は、岩手県一関市にある一ノ関駅から宮城県気仙沼市、岩手県陸前高田市を経由して、岩手県大船渡市の盛駅までの105.7kmを結ぶJR東日本の鉄道路線である。

大船渡線は、岩手県内にある陸中門崎~千厩間の線形が大きく北側に遠回りする「鍋弦線」という形状となっていることから「ドラゴンレール大船渡線」の愛称名が付けられているが、これは鉄道建設当時の地元出身の政治家の駆け引きによる産物で、いわゆる「我田引鉄」の代表例としても有名な路線である。

三陸海岸沿岸部を走行していた気仙沼~盛間については、2011年3月11日に発生した東日本大震災では津波による甚大な被害を受け、以降は鉄道については不通となっており、2013年3月2日からBRT(バス高速輸送システム)が運行されている。

大船渡線終点の盛駅から伸びる三陸鉄道も接続する山田線とともに東日本大震災による津波で甚大な被害を受けたが、こちらは、山田線も含めて三陸鉄道に移管される形で鉄道としての復興を果たしており、鉄道による復旧を断念してBRT化された大船渡線とは対照的だ。

宮城県から岩手県にかけての三陸地方一帯には、中核市以上の大都市は存在せず、中小規模の市町村が連なる地域であるが、このように災害による被害を受けた鉄道の復興に地域によって差が出てしまったのは、政府による地方鉄道の支援スキームに原因があることから、個人的にはこうした激甚災害への鉄道復興支援については鉄道会社の規模に寄らない新たな復興スキームの構築が必要不可欠であると感じている。

今回の乗車記では、東日本大震災による被害を受ける前の2005年8月9日の大船渡線の様子を紹介する。


2.起点の一ノ関駅へ


盛岡駅前の東横インで1泊をした鉄道乗蔵は、8時28分発の東北新幹線やまびこ48号東京行で一ノ関へと向かう。この当時発売されていた「みちのくふりーきっぷ」は青森、秋田、岩手の東北3県の新幹線も自由席に限り乗り放題となっていたことから迷わず新幹線を選択。乗り鉄をするにはうってつけのチケットであった。

鉄道乗蔵は、東横インで朝食を済ませるとさっそく朝の盛岡駅新幹線ホームへ。盛岡駅の3階に位置する新幹線ホームは2面4線の広々としたもので、朝の爽快感も相まって新しい路線への乗車に胸が躍る。そして、こここから9時28分に発車する東京行やまびこ48号で大船渡線の起点となる一ノ関駅へと向かう。

いつもは東北本線を普通列車で縦断することが多い鉄道乗蔵ではあるが、この日は新幹線で目的の路線の始発駅まで直行する。通常、盛岡~一ノ関間を東北本線の普通列車で移動しようとした場合の所要時間は96分程度であるが、東北新幹線を利用しようとした場合の所要時間は僅か47分と東北本線での普通列車と比較した場合のおよそ半分とその俊足ぶりが際立つ。

そして、北上盆地の広大な水田地帯をやまびこ48号で南に向かって疾走し、一ノ関駅へと到着したのは9時15分のこと。ここで、いよいよ未乗路線である大船渡線の盛行普通列車へと乗り換える。


IMG_1097h.JPG
▲一ノ関駅で発車を待つ盛行


3.鍋弦線を気仙沼駅へ


IMG_1098h.JPG
▲方向幕は平仮名表記だった


大船渡線盛行の普通列車は一ノ関駅3番線ホームから発車する。

鉄道乗蔵が一ノ関駅へと到着した時点で、盛行普通列車も既にホームへと入線済みであり接続時間も僅か10分程度しかなかったことから手早く写真撮影を済ませる。

ここで特徴的だったのは列車の方向幕表示が「さかり」の平仮名表記となっていることで、この平仮名表記については「盛」という漢字表記では「盛岡」と混同してしまう恐れがあることから、平仮名表記となっているのかなという印象を受けた。また、大船渡線に使われているキハ100形気動車は16m級の短尺車体となっていることも特徴だ。

そして、9時25分、列車は定刻通りに一ノ関駅を出発。まもなく東北本線から東方面に分岐し三陸海岸方面へと向かう。一ノ関駅から2つ目の陸中門崎駅では進路を北に変えここから千厩駅までの26.1kmが鍋弦線区間となる。同区間を直線的に結べば約10kmほどの道のりではあるが、この区間は正方形の三辺をなぞるような形で線路が敷設されていることが特徴的な区間となる。

しかし、鍋弦線区間の途中には日本百景選出観光地である猊鼻渓なども存在することから、決してこのルート設定は悪いことばかりではないようである。


IMG_1099h.JPG
▲車窓から見えた猊鼻渓レストハウス


千厩駅からは再び東へと進路を取り山間の線路をひた走ること1時間45分で列車は大船渡線と気仙沼線の分岐駅である気仙沼駅へと到着した。気仙沼駅は大船渡線営業所も併設する南三陸地方の拠点駅だ。


IMG_1102h.JPG
IMG_1103h.JPG
▲気仙沼駅全景


4.終点の盛駅へ


IMG_1104hb.jpg
▲車内の様子


列車は気仙沼駅でおよそ2分間の停車後、再び盛駅へと向かって発車した。気仙沼駅を発車して20分ほどで列車は入り江に大きな市街地を持つ陸前高田へ。そして、大船渡駅を過ぎ終点の盛駅へと到着したのは12時11分のことであった。


IMG_1105hba.jpg
IMG_1106h.JPG
▲盛駅へ到着


盛駅は、釜石方面に向かって三陸鉄道南リアス線が接続しているほか、貨物専用鉄道である岩手開発鉄道線も接続しておりひっきりなしに石灰石輸送の貨物列車が出入りしている大変活気のある駅だった。


IMG_1108h.JPG
▲駅構内は活気があった


鉄道乗蔵は、しばらく岩手開発鉄道の貨物列車を見物した後、三陸鉄道南リアス線へと乗り換えて釜石方面へと向かうことにした。


IMG_1111h.JPG
▲盛駅舎


5.2005年8月9日の行程


  • 盛岡 08:28発 → 一ノ関 09:15着(やまびこ48号)
  • 一ノ関 09:25発 → 盛 12:11着(大船渡線329D)
  • 盛 12:38発 → 釜石 13:30着(三陸鉄道213D)
  • 釜石 13:39発 → 宮古 14:52着(山田線1647D)
  • 宮古 15:53発 → 釜石 17:07着(山田線5654D)
  • 釜石 17:10発 → 盛岡 20:18着(釜石線1660D)

<前回までの記事>
東北3県乗りつぶし!2005年みちのくフリーきっぷの旅【概要編】
急行はまなす号乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(1)
弘南鉄道大鰐線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(2)
真夏にストーブ列車の運行も!?津軽鉄道乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(3)
キハ40系時代の『リゾートしらかみ号』乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(4)
由利高原鉄道・鳥海山ろく線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(5)
ロングシートのキハ40で男鹿半島へ!男鹿線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(6)


<次回の記事>
石灰石輸送で大活躍!岩手開発鉄道見聞録!2005年みちのくフリーきっぷの旅(8)





この記事へのコメント

人気記事 - 24時間以内

人気記事 - 先月