三陸鉄道南リアス線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(9)

IMG_1125h.JPG

鉄道乗蔵はJRや私鉄路線の全てを含めた日本の鉄道全路線の乗りつぶしを目指している。


今回のシリーズ記事では、2005年8月に大学の夏休みを利用して、当時、JR北海道で販売されていた北東北3県の新幹線を含むJR線が乗り放題の「みちのくフリーきっぷ」を利用して東北地方の乗りつぶしを行った時の様子を紹介している。


2005年8月9日。
札幌出発4日目(全行程5泊6日)。


目次


1.三陸鉄道南リアス線とは


三陸鉄道南リアス線とは、第三セクター方式の鉄道会社である三陸鉄道によって運営されている鉄道路線で、岩手県大船渡市の盛駅と岩手県釜石市の釜石駅の36.6kmを結ぶ。日本国有鉄道(国鉄)の特定地方交通線であった盛線と日本鉄道建設公団建設線を引継いで開業した。

1970年(昭和45年)から1973年(昭和48年)にかけて盛~吉浜間の21.6kmが国鉄盛線として先行開業していたが、その後、国鉄再建法などの影響を受け国鉄線としての工事は一時凍結されていたが、盛~吉浜間の開業の11年後の1984年(昭和59年)になって国鉄盛線の三陸鉄道への移管とあわせて未成区間であった吉浜~釜石間15.0kmが新規開業し、盛~釜石間の三陸鉄道南リアス線が全通した。

路線は太平洋に面する三陸海岸沿いを走っているが、大半の区間は長大トンネルで抜けていることから、海が見えるのはリアス式海岸の入り江に面した駅周辺などに限られる。

この乗車記を執筆しているのは2019年であるが、三陸鉄道南リアス線は2019年3月のJR東日本山田線の三陸鉄道への経営移管に伴って、北リアス線の久慈~宮古間、山田線の宮古~釜石間、南リアス線の釜石~盛間の3路線を一体化してリアス線と改称された。


IMG_1112h.JPG
▲三陸鉄道・盛駅舎


2.三陸鉄道・盛駅


IMG_1114h.JPG
▲盛駅舎内の様子


三陸鉄道・盛駅はJRとは独立した駅舎が建てられており、この駅舎はJR盛駅の左側に隣接している。

鉄道乗蔵は、12時38分発の釜石行に乗車し釜石へ、そしてさらに山田線へと乗り継ぎ宮古まで向かいこれまで未乗となっていた岩手県内の三陸海岸路線への完乗を果たす予定だ。

夏休み真っ只中ということもあり、三陸鉄道の盛駅舎内は旅行者などで混雑しており、活気があった。ここで、釜石までの乗車券を購入。釜石行の列車が待つ3番線へと向かう。

三陸鉄道の乗り場の横には岩手開発鉄道の側線群も存在し、石灰石を満載した貨物列車がひっきりなしに出入りしている光景は、鉄道が岩手県大船渡市の基幹産業であるセメント産業を支えているという実感が伝わり印象的な光景であった。


IMG_1119h.JPG
▲岩手開発鉄道の貨物列車

IMG_1118h.JPG
▲釜石行普通列車


3.盛から釜石へ


IMG_1123h.JPG
▲車内の様子


盛駅から乗車する釜石行普通列車は、1984年の三陸鉄道開業当時から活躍する36-200形気動車で、車内は国鉄気は40系気動車に準じたボックスシートが並ぶ仕様となっている。盛~釜石間36.6kmの所要時間は52分間で、ちょっとした小旅行気分を味わうには手ごろな時間である。

列車は12時38分、定刻通りに盛駅を発車するとしばらくJR大船渡線の線路と平行して南進。その後、大きく東側に分岐をし三陸海岸方面へと進路を取る。岩手県2級河川である盛川を渡ると、岩手開発鉄道赤崎線の線路をオーバークロス。そして、佐野トンネルを抜け陸前赤崎駅へと到達した。

岩手開発鉄道赤崎線の終着駅は赤崎駅で、こちらは石灰石積み下ろし専用の貨物駅で太平洋セメント大船渡工場に隣接した場所に駅があるが、赤崎地区で一般乗客が利用できる駅はこちらの陸前赤崎駅になる模様。


IMG_1120h.JPG
▲岩手開発鉄道をオーバークロス


列車は陸前赤崎駅を出ると長大な綾里トンネルへと入り一気に三陸海岸へと抜け、線路は北へと進路を取る。

三陸鉄道南リアス線は盛から釜石までの36.6kmの間に、綾里湾、越喜来湾、吉浜湾、そして唐丹湾の4つの入り江を通り、集落と駅はその入り江沿いに存在する。

入り江と入り江の間には山地が立ちはだかっており、線路はその間を長大なトンネルで貫いていることが南リアス線の大きな特徴で、列車は直線的なルートを快調に進んでいく。

トンネルを抜けると美しいリアス式海岸の入り江、そしてまたトンネルに入り次の入り江へという風景を何度か繰り返す。


IMG_1121h.JPG
▲トンネルの合間に見えるリアス式海岸


そして、平田駅を過ぎ最後の長大トンネルである釜石トンネルを抜けたところで、車窓には釜石湾に面した釜石市の大きな市街地の風景が広がる。


IMG_1122h.JPG
▲釜石市の市街地


そして、この市街地の風景が開けて間もなくして列車は終着の釜石駅へと到着した。


IMG_1125h.JPG
▲釜石駅に到着した列車


岩手県釜石市は、近代の製鉄業の発祥の地ということもあり、市内では日本製鉄釜石製鉄所の操業が続けられている。こちらの製鉄所については、八幡製鐵所よりも早くに操業を開始した日本最古の製鉄所であるということ。そして、釜石市には釜石漁港もあり漁業も盛んであるということから、三陸鉄道の駅名票には「鉄と魚のまち」というキャッチコピーが添えられていたことも印象的であった。


IMG_1126h.JPG
▲釜石駅の駅名票


鉄道乗蔵は、ここからさらに山田線に乗り換え宮古駅へと向かう。


4.2005年8月9日の行程


  • 盛岡 08:28発 → 一ノ関 09:15着(やまびこ48号)
  • 一ノ関 09:25発 → 盛 12:11着(大船渡線329D)
  • 盛 12:38発 → 釜石 13:30着(三陸鉄道213D)
  • 釜石 13:39発 → 宮古 14:52着(山田線1647D)
  • 宮古 15:53発 → 釜石 17:07着(山田線5654D)
  • 釜石 17:10発 → 盛岡 20:18着(釜石線1660D)

<前回までの記事>
東北3県乗りつぶし!2005年みちのくフリーきっぷの旅【概要編】
急行はまなす号乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(1)
弘南鉄道大鰐線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(2)
真夏にストーブ列車の運行も!?津軽鉄道乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(3)
キハ40系時代の『リゾートしらかみ号』乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(4)
由利高原鉄道・鳥海山ろく線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(5)
ロングシートのキハ40で男鹿半島へ!男鹿線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(6)
ドラゴンレール大船渡線乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(7)
石灰石輸送で大活躍!岩手開発鉄道見聞録!2005年みちのくフリーきっぷの旅(8)


<次回の記事>
山田線・釜石~宮古間乗車記!2005年みちのくフリーきっぷの旅(10)





この記事へのコメント

人気記事 - 24時間以内

人気記事 - 先月