名古屋周辺が大混雑!?2005年の「愛・地球博」訪問記

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はじめに


2005年9月1日、夏休みの旅行もいよいよ大詰めである。名古屋市内に滞在していた私は、この日は愛知県内の長久手町で開催されていた愛知万博「愛・地球博」へと見学に向かうことにした。

午前6時半頃に名古屋駅前の東横インを出発した私は、地下鉄東山線で藤が丘駅へ。凄まじい混雑の中、この万博輸送に合わせて開業した日本初の磁気浮上式リニアモーターカー路線、愛知高速交通東部丘陵線(愛称名:リニモ)へと乗り換え、愛・地球博の長久手会場の最寄り駅となる万博会場駅を目指した。


目次


1.愛・地球博とは


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▲愛・地球博のマスコットキャラクター、モリゾーとキッコロがデザインされた入場券


愛・地球博とは、2005年3月25日から同年9月25日まで愛知県内の2つの会場で開催された21世紀最初の国際博覧会 (EXPO) であり、日本では1970年に開催された大阪万博以来2回目の35年ぶりとなる総合的なテーマを取り扱う大規模な国際博覧会だ。

2つの会場は、長久手会場(愛知県愛知郡長久手町(現:長久手市)及び豊田市にまたがる場所)と瀬戸会場(同県瀬戸市)に別れ、「自然の叡智」をメインテーマに、「地球大交流」をコンセプトとした120ヶ国を越える国々や、JR東海・超電導リニア館をはじめとした有力企業によるパビリオンが展開された。

また、愛・地球博の開催にあたっては、長久手会場へのアクセスを行う常設路線として、日本初の磁気浮上式リニアモーターカー路線、愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)が名古屋市営地下鉄東山線藤が丘駅と愛知環状鉄道万博八草駅との間に開業。リニモへのアクセスについては地下鉄東山線の他、JR名古屋駅から愛知環状鉄道線乗り入れて万博八草まで向かうエキスポシャトルが7時台から20時台にかけて1時間あたり3本程度の運行が行われていた。

私の愛・地球博の見学については時間の制約から長久手会場のみとはなってしまったが、長久手会場には日本の鉄道技術の発展を展示したJR東海・超電導リニア館があることから、こちらのパビリオンへの訪問を楽しみに朝の万博会場へと向かった。


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▲愛・地球博の入場券の裏面


2.凄まじい混雑の藤が丘駅でリニモ乗り換え


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▲地下鉄藤が丘駅を降りリニモへの乗り換えを目指す人々


愛・地球博、長久手会場のオープンは午前9時からということであったが、途中リニモへの乗換駅や会場への入場の際には凄まじい混雑と待ち時間が予想されることから、私は午前6時30分ころに宿泊先であった名古屋駅前の東横インを出発して地下鉄東山線でリニモへの乗換駅である藤が丘駅を目指すことにした。東横インの朝食は午前7時からなのでホテルでの朝食が取れなかったことは非常に残念であるが、滅多にない万国博覧会への参戦のためホテルの朝食を抜くくらいは、まぁ、いたしかたはないだろう。

名古屋市営地下鉄東山線は、朝ラッシュ時は6両編成の電車が2分間隔で運転されており、混雑状況についても通常の朝ラッシュ時の混雑とは大差がないように感じられた。地下鉄東山線は名古屋駅を発車して20分ほどすると地下線から地上の高架線区間となり、高架駅の藤が丘駅へと到着したのは午前7時過ぎのことであった。

しかし、藤が丘駅へと到着した私はさっそく愛・地球博の洗礼を受けることとなる。何と、リニモへの乗車までの待ち時間が1時間もあるのである。地下鉄東山線の藤が丘駅は高架駅であるがリニモの藤が丘駅は地下駅となっており、この高架駅から地下駅に続く通路が人で埋め尽くされていて身動きがほぼ取れない。

それもそのはずで、地下鉄東山線の輸送力は朝ラッシュ時6両編成の電車が2分間隔で運転されているのに対して、リニモは車両数、運行本数ともに減り、3編成の電車が6分間隔での運転となることから、藤が丘駅での乗り換えが大きなボトルネックとなっていたのである。

藤が丘駅では、真夏の蒸し暑さと身動きが取れない長蛇の列に耐えながら待つことおよそ1時間。私が万博会場駅へと向かうリニモへと乗り換えが出来たのは午前8時半近くになっていた。


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▲1時間近く並んでようやくリニモ地下ホームに到着


3.日本初の磁気浮上式リニアモーターカーで万博会場駅へ


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▲はなみずき通駅で対向列車とすれ違う


地下鉄東山線終点の藤が丘駅から万博会場駅を経由して愛知環状鉄道の万博八草駅との8.9kmを結ぶ愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)は、日本初の磁気浮上式リニアモーターカー営業路線だ。

なお、藤が丘駅から万博会場駅までの距離は7.0kmで所要時間は13分だ。リニモに乗車するために要した1時間の待ち時間に比べれば、一瞬の乗車時間である。

リニモは満員の乗客を乗せると滑るように藤が丘駅を発車すると一気に地下から急こう配を駆け上り地上高架区間へと出る。電車の先頭部分は床から天井まで全面ガラス張りとなっていることから全面展望がとても爽快だ。

地上区間へと抜けるとすぐにはなみずき通駅となり、ここでは藤が丘駅に向かう電車とすれ違った。電車の先頭部分には愛・地球博のマスコットキャラクターであるモリゾーとキッコロのシールが貼られていた。

そして、はなみずき通駅を過ぎると電車は東部丘陵線という路線名のごとく名古屋市東部の丘陵地帯に開かれた住宅街の中を滑るように駆け抜け、あっとういう間に愛・地球博、長久手会場入場ゲート最寄駅となる万博会場駅へと到着した。


4.凄まじい混雑は長久手会場入場ゲートでも


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▲開場待ちの人で埋め尽くされた長久手会場入場ゲート


混雑に次ぐ混雑の中、名古屋駅から2時間半以上の時間をかけてどうにかリニモ万博会場駅へと到着した私は、また更なる混雑に揉まれることになった。長久手会場の入場にまたさらに1時間がかかるとのことでまた真夏の蒸し暑さの中をひたすら待った。

愛・地球博の入場券については、全国JR駅のみどりの窓口でも販売されており、愛・地球博開催前の前入り券を購入すれば安くなるということで、私も自宅最寄駅のみどりの窓口で購入したバウチャー券を携え、長久手会場へとやって来ていたのであった。

JRみどりの窓口で発券されたものは、お馴染みの水色のマルス券の券面にバウチャー券と印字されたもので、実際の入場にあたっては入場ゲートの自動改札機を通過できるICチップが内蔵された専用の入場券に引き換える必要があり、この混雑の中、専用入場券の引き換えもどうにかこなすことが出来た。

そして、長い待ち時間を耐え、入場ゲートの自動改札機に専用の入場券を投入して、無事、長久手会場へと入場。私の手元にはパンチ穴が開いたモリゾーとキッコロデザインの入場券が戻ってきた。


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▲長久手会場内の様子


5.最初の目的はJR東海・超電導リニア館!


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▲JR東海・超電導リニア館


長久手会場へと入場し、まず私が真っ先に目指したのはJR東海の超電導リニア館だ。愛・地球博では、江戸時代のからくり時計を展示している東芝館など企業関連のパビリオンも多く展開がされていたが、鉄道関連のパビリオンとしてはJR東海の超電導リニア館が唯一にして最大なもので、鉄道ファンの私としては最も興味が惹かれるものであった。

JR東海の超電導リニア館は、当時山梨県のリニア実験線でJR東海が技術開発を重ねていた「超電導リニア」の全てを紹介することをコンセプトとしたパビリオンで、入口付近には2003年12月に山梨リニア実験線で有人走行による世界最高速度時速581kmを達成したリニアモータカー試験車両の先頭車の展示も行われており、車内への立ち入りを行うことも可能であった。

私はさっそくこのパビリオンを見学しようとしたところ、既に見学希望者の長蛇の列が出来ており、入場までおよそ1時間がかかるということ。ここでも真夏の蒸し暑さに耐えながらパビリオンの入館を目指して列に並ぶことにした。そして、汗だくになりながらも入場までの長蛇の列に耐え、超電導リニア館へと入場することができたのは10時頃のことであった。

この超電導リニア館は、時速500kmで走行する「超電導リニア」のハイビジョン3Dシアターの目玉展示のみならず、明治時代の鉄道創成期からの鉄道のスピードアップの歴史についても一目でわかるような展示内容となっており、鉄道好きにはとても興味深いパビリオンとなった。


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▲MLX01-1形試験車両にも乗車することが出来た


6.長久手会場を1週するグローバル・ループ(空中回廊)


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▲グローバル・ループ(空中回廊) では猛暑対策のためミストが噴出していた


JR東海超電導リニア館の見学を終えた私は、長久手会場を1周して配置されているグローバル・ループでミストに当たりながら次に見学するべきパビリオンをどこにするか思案にふける。

このグローバル・ループは、丘陵地帯にある長久手会場を水平に1週出来るように設置されている、全長約2.6km、標準幅約21mの空中回廊だ。

また、丘陵地帯に設置されたバリアフリー構造の回廊であることから最も地面から高いところで約14mもの高さがあり、まさに空中回廊という呼び名が相応しい。

既に時刻は11時近くになっており、長久手会場への入場者数は増加する一方であったが、せっかくお高い入場料を払ってはるばる愛・地球博へとやってきているので、なるべく多く他のパビリオンも回りたいところである。しかし、東芝館や三菱間などの人気パビリオンは2時間待ちの状態となっており、私が長久手会場にいることのできる時間も限られていることから空いているパビリオンをサクッと巡ってみることにした。


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▲地上から高い位置に設置されたグローバル・ループ(空中回廊)


7.竹ゲージが印象的な長久手日本館!


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▲長久手日本館


グローバル・ループ(空中回廊)を歩きながら主要なパビリオンの混雑の様子を一通り見てみると、愛・地球博らしいパビリオンの中で比較的好いていたのが長久手日本館であることがわかり、最後にこちらを見学することに決めることにした。

愛・地球博では、何か1回の行動を起こす度に1時間以上の待ち時間を強いられる傾向があることを早朝からの身に染みて理解させられることになったが、こちらの長久手日本館はわずか40分程度の待ち時間で入場することができた。

長久手日本館は「人と自然とのつながり」を展示コンセプトとしたパビリオンで、目玉となるものは日本の技術と知恵を活かした自然との共生をテーマにした竹ゲージであった。

長久手日本館も実際に入場してみるとかなり見ごたえのある展示内容で、1時間ほどの時間をかけじっくりと展示内容を見学。見学を終えた頃にはすでに時刻は13時を回っており、私の愛知県への滞在時間もリミットが近くなってきたいたことから、後ろ髪をひかれる思いで愛・地球博の会場を後にすることにした。


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▲長久手日本館の竹ゲージ


8.リニモと愛知環状鉄道で帰路へ


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▲万博会場駅ホームの様子


名古屋駅から万博会場への往路は地下鉄東山線とリニモを利用したので、万博会場から名古屋駅への復路はリニモと愛知環状鉄道を利用することにした。

万博会場駅からはリニモで愛知環状鉄道の万博八草駅へと向かい。そこから愛知環状鉄道線からJR中央本線に直通する名古屋行の快速エキスポシャトル号へと乗り換える。

快速エキスポシャトル号は211系電車や213系電車を寄せ集めた10編成で構成されており、所要時間は50分ほどであった記憶だ。

そして、名古屋駅からはさらにこの日の最終目的地である東舞鶴駅を目指し、舞鶴港からの小樽航路で北海道への帰路に着くことにした。


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▲万博会場駅に入線するリニモ


9.青春18きっぷ(赤券)でJR5社のスタンプ収集にも同時に挑戦中!


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▲JR5社分の入鋏スタンプを集めた青春18きっぷ


2005年の夏の旅行では、日本各地の未乗路線の乗り潰しと並行して、青春18きっぷのスタンプ欄をJR5社のスタンプで埋めるということにも同時に挑戦!

1回目はJR九州・博多、2回目はJR四国・松山、3回目はJR西日本・大阪、4回目はJR東海・名古屋、そして最後の5回目はJR北海道・札幌といった具合である。

この日は、快速エキスポシャトル号を名古屋駅で下車した際に入鋏を受けることとなった。


10.この日の行程


  • 名古屋 発 → 藤が丘 着(名古屋市営地下鉄東山線)
  • 藤が丘 発 → 万博会場 着(愛知高速交通東部丘陵線リニモ)
  • 万博会場 発 → 万博八草 着(愛知高速交通東部丘陵線リニモ)
  • 万博八草 14:47発 → 名古屋 15:35着(愛知環状鉄道~中央本線 122M エキスポシャトル)
  • 名古屋 17:30発 → 米原 18:41着(東海道本線 2233F 新快速)
  • 米原 18:54発 → 京都 19:45着(東海道本線 3519M 新快速)
  • 京都 20:07 発 → 綾部 21:44着(山陰本線 2223M 快速)
  • 綾部 22:33発 → 東舞鶴 23:00着(舞鶴線 351M 特急リレー号)
  • 舞鶴港 ヨ1:00発 → 小樽港 21:00着(新日本海フェリー)



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