はじめに
2005年8月22日、2泊3日の期間に渡って福岡県内で未乗路線の乗り潰しをしていた私は、いよいよ九州最終日を迎えることとなった。
8月20日朝に、夜行快速列車のムーンライト九州号で博多入りをした私は、その日のうちに13時間かけて、筑豊本線、後藤寺線、平成筑豊鉄道、筑豊電気鉄道、篠栗線、香椎線の6路線を完乗。
その後、博多駅前の東横インに宿を取り、翌日となった8月21日には、西鉄天神大牟田線、西鉄甘木線、甘木鉄道、博多南線、西鉄宮地岳線、地下鉄七隈線の6路線に完乗。
前日から福岡県内で未乗路線の乗り潰しをしていた私は、この日も福岡県内に在住する友人O氏と県内の未乗路線の乗り潰しに挑むこととなった。
そして九州最終日となった8月22日には、日田彦山線と久大本線の乗り潰しを完乗した後、別府観光港から夜行便のフェリーで豊後水道を渡り四国の八幡浜港へと向かう計画を立てていた。
目次
1.日田彦山線とは
日田彦山線は、福岡県北九州市小倉南区の城野駅から大分県日田市の夜明駅までの68.7kmを結ぶJR九州の非電化単線の鉄道路線である。
路線の起点は日豊本線の城野駅ではあるが城野駅を通る列車は全て小倉駅まで乗り入れ、小倉駅を始発・終着として列車の運行が行われている。また、末端区間についても夜明駅を通る列車は全て久大本線に乗り入れて日田駅を始発・終着として運行されていた。
2005年当時、列車の運行については小倉駅から田川後藤寺駅、添田駅と末端区間に進むにつれ列車本数が少なくなっていき、小倉~田川後藤寺間が26往復なのに対して、末端の添田~日田間については10往復と小倉側の半分以下の運行本数となっていた。
この乗車記を綴っている2020年2月現在、日田彦山線の添田~夜明間については、2017年7月5日から6日にかけて発生した九州北部豪雨で甚大な被害を受けたことからバス代行輸送が続いており鉄道としての復旧のめどは立っていない状態で、今後はBRT化による復旧が有力視される状況となってしまった。
2.始発の小倉駅へ!
2005年8月21日午前10時を過ぎた頃、福岡市近郊路線の徹底乗り潰しのため2泊していた博多駅前の東横インをチェックアウトし、私は次の乗車路線である日田彦山線へと乗車するために鹿児島本線の快速列車で小倉駅へと向かった。
博多駅からは10時28分発の門司港行の快速列車へと乗車し、小倉駅へと到着したのは11時39分のこと。67.2kmの距離を1時間強の所要時間で走破した。そして、小倉駅からは12時19分発の田川後藤寺行へと乗車し、そこからさらに日田行へと乗り換えて日田彦山線の完乗を果たす。
小倉駅では40分ほどの待ち時間があったので、駅ホームを行き交う列車群を眺めながら時間を過ごし、日田彦山線の列車の入線を待った。そして、発車時刻が近くなりキハ47形気動車2両編成の田川後藤寺行がホームに入線。
行先表示には昔懐かしいサボが使用されており、赤い文字で「日田行に接続」という案内も刻まれていたことが印象的であった。小倉駅から田川後藤寺駅まで36.1kmの所要時間は55分だ。
3.小倉から金辺峠を越えて田川後藤寺へ!
北九州市の中心駅である小倉駅を定刻通りに発車した列車は、オフィスビルや住宅密集地を車窓に写しながら城野駅までの6.1kmは日豊本線を走行。城野駅から日田彦山線は田川後藤寺方面へと分岐をする。
日田彦山線へと分岐した後も市街地南端の志井公園駅までは北九州市の住宅密集地帯の中を進む。なお、志井公園駅は小倉駅を起点とする北九州モノレールの終着駅である企救丘駅にもほど近い。
志井公園駅を過ぎると北九州市の市街地を抜け、列車は谷間に開けた田園地帯の広がる景色の中を進む。ここからは、谷間に流れる小川を上流方面へと遡り、北九州市と田川郡とを隔てた金辺峠へと向かう。
金辺峠周辺の山々には石灰石を埋蔵していることから、周辺には石灰石の採掘鉱山も多く呼野駅近くでは三菱マテリアル東谷鉱山の工場群を目にすることが出来た。
そして、列車は金辺峠を越えて福岡県田川郡へ。峠を下って終点の田川後藤寺駅へと到着したのは13時14分のことであった。ここからは14分の接続時間で日田行へと乗り換えて終点の日田駅までの全線を乗り通す。
4.彦山川沿いの渓谷地帯を越えて日田へ!
田川後藤寺駅は、筑豊地区の主要都市の一つである田川市の中心駅で、日田彦山線は田川後藤寺駅を境に列車本数が減少する。また、新飯塚とを結ぶ後藤寺線、金田・直方方面とを結ぶ平成筑豊鉄道金田線もこの田川後藤寺駅から分岐している。かつては筑豊炭田の石炭輸送の拠点駅として栄えた駅であることから駅構内が広いことが特徴だ。
田川後藤寺駅では平成筑豊鉄道の軽快気動車などを眺めているうちに発車時刻が迫り、ホームには日田行の普通列車が入線。こちらの列車もキハ47形気動車の2両編成であった。田川後藤寺駅から日田駅までは47.2kmも距離があるが、この区間の所要時間は1時間6分だ。
列車は13時28分、定刻通りに田川後藤寺駅を発車し、直方平野を彦山川の上流方面に向かって進行。そして、直方平野最南端の添田駅へと至る。添田駅から先の区間は、彦山川沿いの渓谷地帯となり峠を越えて大分県へと至る閑散線区となるが、この区間は2017年に九州北部豪雨で甚大な被害を受け不通が続くこととなってしまうことになる。
途中にある彦山駅は赤い屋根と大きな木造駅舎が特徴的で近隣にある英彦山神宮を模して1942年の開業当時に建造されたものであるとのことであったが、この時はすでに彦山駅は無人駅となっているようではあったが、駅舎内では女性陶芸家がこの駅の旧事務室部分に工房と陶芸のギャラリーおよび喫茶室(翔房舎)を設けて営業をしている様子であった。
そして、列車は定刻の14時34分、無事に終点の日田駅へと到着。小倉駅からのトータルの所要時間は2時間15分であった。
日田駅からは更に一旦、久留米駅まで向かったのち久大本線を乗り通して大分駅へ。そして、別府観光港最寄りの別府大学駅へと向かい宇和島運輸の深夜便のフェリーで豊後水道を四国の八幡浜港へと渡った。
5.この日の行程
- 博多 10:28発 → 小倉 11:39着(鹿児島本線 快速 4122M)
- 小倉 12:19発 → 田川後藤寺 13:14着(日田彦山線 949D)
- 田川後藤寺 13:28発 → 日田 14:34着(日田彦山線 951D)
- 日田 14:42発 → 久留米 15:47着(久大本線 1852D)
- 久留米 17:14発 → 日田 18:17着(久大本線 1861D)
- 日田 19:01発 → 大分 21:14着(久大本線 1863D)
- 大分 21:58発 → 別府大学 22:16着(日豊本線 646M)
- 別府観光港 23:55発 → 八幡浜港 ヨ2:25着(宇和島運輸)
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