2005年8月19日、私は大垣~樽見間を結ぶ樽見鉄道線への乗車を終え、ムーンライト九州号に乗車するため新大阪駅へと向かう途中、京都駅で途中下車をした。
大垣駅から関ヶ原を越えて米原駅へ。米原駅から新快速電車へと乗り継ぎ、京都駅に到着したのは20時を過ぎた頃。降り立った4・5番線ホームの目の前には、なんと、郵便ポストがあり珍しさから1枚の写真を撮影した。
「一体なぜ駅のホーム上にポストがあるんだ!?」
駅のホーム上にある郵便ポストを見たのはこの時が初めてだったこともあり、ホーム上に存在する郵便ポストの謎を気にしながら、旅を終えて家に帰ってからいろいろと調べてみることにした。実際に調べてみると駅のホーム上に郵便ポストがあるのは京都駅が日本で唯一の存在であり、私が目にした4・5番線ホーム上の他にも2・3番線のホーム上にも郵便ポストがあるということがわかった。
かつては郵便輸送の主力は鉄道によるもので、1986年の鉄道郵便輸送の廃止までは郵政省が保有する郵便車を使用して日本全国津々浦々で鉄道による郵便輸送が行われていた。京都中央郵便局や大阪中央郵便局、東京中央郵便局などの国内主要都市の中央郵便局は駅前に立地し、鉄道郵便全盛時代は駅前の中央郵便局と駅とが地下通路で直結しているというところもあった。
国鉄時代の京都駅には駅構内にも郵便作業を行うための「京都駅郵便室」が開設されており、かつては駅構内でも郵便物の引き受けが行われていたということから、駅ホーム上に残る郵便ポストは鉄道郵便全盛時代の名残と見ることが出来るだろう。
鉄道郵便全盛時代は、恐らくは日本各地の主要駅で見ることが出来たであろう駅ホーム上の郵便ポスト。1986年の鉄道郵便輸送の廃止に伴って国内主要駅のホーム上のポストは順次撤去されていったようであるが、京都駅のポストはなぜか人気が高かったことから、京都中央郵便局が「乗客による利用率が高い」ということで残すことに決めたそうである。
日本国内の駅においてホーム上に郵便ポストが設置されている駅は京都駅が唯一となってはしまたが、都会の喧騒の中にあるホームの片隅に立つ郵便ポストの存在に、鉄道郵便全盛期の面影を感じとることができた。
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