夢洲へ約6.0kmの延伸構想もあるJR桜島線乗車記!

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はじめに


2005年8月30日、私の関西滞在も最終日を迎えた。この日は、大阪市内にある未乗路線の桜島線への乗り潰しを果たし、その後、鶴橋へ。鶴橋からは近鉄線の急行を乗り継いで名古屋へと向かう計画を立てていた。

今回は、大阪から名古屋へと旅立つ前に、桜島線へと立ち寄った時の様子を綴りたい。


目次


1.桜島線とは


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▲桜島線と大阪環状線の位置関係(Wikipediaより引用)


JR桜島線は大阪府大阪市此花区の西九条駅で大阪環状線から分岐し、桜島駅までの4.1kmを結ぶJR西日本の幹線鉄道路線である。大阪市内を走る幹線路線と言うこともあって全線が複線で直流1500Vによる電化路線となっている。

かつては沿線工場への通勤路線と言う色合いの強い路線であったが、2001年3月のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)開業時には新たにユニバーサルシティ駅が設置され、その後はUSJへのアクセス路線としても重要な役割を果たす路線となった。またこの時同時に「JRゆめ咲線」の愛称名も制定されている。

桜島線の歴史は古くその起源は明治時代までさかのぼることが出来る。もともと桜島線の西九条~桜島間は独立した路線ではなく、西成鉄道を鉄道国有法により買収した西成線の一部を1961年(昭和36年)の大阪環状線全通時に分離したものである。

西成鉄道は、1898年(明治31年)に大阪~安治川口間で開業した私鉄路線で、1906年(明治39年)の国有化を経て、1910年(明治43年)に桜島まで延伸開業され桜島駅が終点となった。

国有化後は西成線の路線名称が与えられてしばらくは大阪駅と桜島駅との間を結ぶ盲腸線として営業を続けて来た路線だったが、この西成線に転期が訪れたのは1961年(昭和36年)の大阪環状線の開業であった。

大阪環状線は、当時すでに開業していた、関西本線の今宮~天王寺間、天王寺~大阪間の城東線、大阪~西九条間の西成線の線路を活用し、西九条~今宮間を新たに建設することで大阪初の環状鉄道路線として開業した。この際に、西成線の大阪~西九条間が大阪環状線に編入され、西九条~桜島間は桜島線として分離された。


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▲西成鉄道路線図(Wikipediaより引用)


2.桜島線直通列車で京橋駅から桜島駅へ!


2005年8月30日もお昼を過ぎた頃、私は8月24日から1週間に渡って滞在した山城多賀を発つ日が来た。次の目的地は、愛・地球博の見学のための名古屋であったが、名古屋へと向かう前に大阪市内にある未乗路線の一つ、桜島線へと立ち寄ることにした。

山城多賀駅からは奈良線と片町線(学研都市線)を乗り継いで京橋駅へ。京橋駅では運よく大阪環状線から桜島線に直通する桜島行の普通電車へと乗り継ぐことが出来た。

当時の桜島線の旅客列車は、西九条~桜島間の線内折り返しのシャトル列車の他、天王寺方面から京橋~大阪~桜島へ向かう大阪環状線からの直通列車も日中の時間帯、1時間に3本が運行されていた。

京橋駅を発車すると列車はオフィスビルやマンションの密集する中の高架橋を大阪駅へと向けて進んでいく。東海道本線の新快速がひっきりなしに発着する大阪駅を過ぎると、ここから桜島駅までが旧西成線の区間となる。

そして、京橋駅を発車してから15分ほどで大阪環状線と桜島線との分岐駅である西九条駅へと到着した。西九条駅を過ぎると電車は高架線を下り、大阪環状線外回り線を頭上にくぐり進行方向右手方面へ分岐。そして六軒家川を越える。ここから桜島駅までは安治川北部の港湾地帯を河口部に向かって進んでいく。


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▲安治川口駅にはJR貨物の駅が隣接


桜島線で最初に停車する安治川口駅は、JR貨物の駅を併設しており、進行方向左側には多数の貨物側線が広がっていた。

この安治川口駅と東京貨物ターミナル駅の間には日本初のコンテナ貨物電車、M250系貨物電車による高速貨物列車「スーパーレールカーゴ」が1日1往復運行されており、側線の隅にこの「スーパーレールカーゴ」が留置されている姿をかすかに見ることが出来た。

「スーパーレールカーゴ」は、佐川急便による1列車貸切輸送で運行されていることが大きな特徴で、深夜帯に大阪~東京間の宅配便貨物を主体とした貨物輸送が行われている。そして、安治川口駅には佐川急便大阪営業所が隣接して設置されていた。

安治川口駅を過ぎると進行方向左手側に広がる貨物列車の側線群の横を通り、ユニバーサルシティ駅へ。ここがUSJへの玄関口となる駅だ。


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▲終点の桜島駅の様子


ユニバーサルシティ駅を過ぎると進行方向右手側にUSJの敷地が広がる中を進み、終点の桜島駅には西九条からわずか8分で到着することができた。なお、桜島駅近くにはUSJ従業員用の通用門がありUSJへの通勤客はユニバーサルシティ駅では無くこの桜島駅を利用するそうだ。

桜島駅を降りると、駅前には阪神高速湾岸線の無機質な高架橋と工場地帯が広がっていた。


3.夢洲への延伸構想について


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▲大阪市「夢洲への鉄道アクセスの技術的検討について」検討資料より


この乗車記から15年の時を経た2020年現在、桜島線には、終点の桜島駅から、駅西側にある人工島の舞洲を経由し、さらにその南西にある人工島の夢洲までのおよそ6kmを結ぶ延伸構想がある。

2つの人工島を結ぼうという鉄道構想の発端は、1983年に「テクノポート大阪計画」が発表されたころにまでさかのぼり、1989年の運輸政策審議会第10号答申では、海浜緑地(コスモスクエア)~北港南(夢洲)~北港北(舞洲)間を結ぶルートが「北港テクノポート線」として、2005年までに整備に着手することが適当な路線とされたことで具体化の動きを見せ始めた。

その後、1991年には大阪市が舞洲を会場とした大阪オリンピックの誘致活動を開始し、1998年には「北港テクノポート線」計画は新桜島にまで拡大。さらにそれに合わせてJR桜島線を新桜島駅まで1.0km延伸する計画が盛り込まれた。こうした背景から桜島駅は2001年のUSJ開業に合わせたリニューアル時に新桜島駅への延伸が考慮された構造となった。

2001年には大阪オリンピックの招致活動が失敗したことにより、桜島線の延伸計画は一旦は凍結されることになったものの、2010年代に入り大阪府市が進める夢洲への統合型リゾート(IR)の誘致活動や万国博覧会の開催と併せて桜島線の夢洲への延伸構想が具体化の動きを見せ始めている。


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▲「JR西日本グループ中期経営計画 2022」より


4.この日の行程


  • 山城多賀 発 → 木津 着(奈良線)
  • 木津 発 → 京橋 着(片町線)
  • 京橋 発 → 桜島 着(大阪環状線・桜島線)
  • 桜島 発 → 鶴橋 着(桜島線・大阪環状線)
  • 鶴橋 発 → 伊勢中川 着(近畿日本鉄道 急行)
  • 伊勢中川 発 → 近鉄名古屋 着(近畿日本鉄道 急行)



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