聖地巡礼の元祖!鷲宮神社に『らき☆すた神輿』を担ぎに行く!

IMG_7159.JPG

はじめに


それはふとした会話がきっかけであった。


2008年8月31日、飯田橋駅近くにある神楽坂の中華料理店で、アニメ好きの友人と昼食を採っていた時のこと。


「今日、これから暇だったら、埼玉県の鷲宮神社まで行ってみない?今、『らき☆すた』というアニメ舞台の聖地巡礼が流行っているみたいだよ。」


鉄道乗蔵は、その名前の通り乗り鉄が専業の鉄オタであるので、アニメにはそれほど詳しいわけではなかったが、このアニメ好きの友人に誘われて鷲宮神社を訪れてしまったことが、その後、沼にハマり『らき☆すた』神輿を担ぎに行くきっかけとなってしまったのであった。



目次


1.聖地巡礼の元祖!鷲宮神社とは


鷲宮神社とは、埼玉県北葛飾郡鷲宮町(現久喜市)に所在する関東最古の神社ということで、もともとは大変に由緒と伝統のある神社だったらしい。


しかし、2007年春に鷲宮神社が舞台となったアニメ『らき☆すた』の放映が行われ、その後アニメに連動した形でアニメ雑誌『月刊ニュータイプ』が『らき☆すた』舞台の聖地巡礼特集を行ったところ、アニメファン層を中心に一気にブレイク。


鷲宮神社には大勢のアニメファンが聖地巡礼に訪れるようになり、2008年1月の初詣には参拝客が前年よりも17万人増加したとのことで大きな話題となり、一般層にも鷲宮神社はアニメ聖地巡礼の元祖として認知されるようになり今日に至っている。


鉄道乗蔵が鷲宮神社の存在を知ったのは、『月刊ニュータイプ』聖地巡礼特集から約1年後のことであったが、アニメ舞台の聖地巡礼が町おこしに大きな影響を及ぼしたということが強い印象に残り、そのまま『らき☆すた』の沼にハマることになってしまったのであった。


IMG_6832.JPG
▲鷲宮神社参道


2.飯田橋から聖地・鷲宮へ!


IMG_6798.JPG
▲北千住から東武鉄道に乗り換え


友人と鷲宮行を決めたのはすっかりお昼をまわった頃ではあったが、鷲宮駅は東武伊勢崎線にあるということでさっそく東武線との乗換駅である北千住駅に向かうことにした。飯田橋から鷲宮までは1時間~1時間半程度の時間があれば到達できそうだったので、日曜日のお昼からの半日コースの小旅行にはちょうど良い距離である。


北千住駅へ到着後は、JR線から東武鉄道・久喜行の急行電車に乗り換える。日曜日の昼下がり、複々線の高架区間から密集した住宅街を眺めながら電車は軽快に久喜へと向け進んでいく。


車内では、同行の友人から『らき☆すた』についての事前のレクチャーを受け、初めての聖地巡礼体験への準備を整える。友人の話によれば、『らき☆すた』とは、主に埼玉県春日部市が舞台の女子高生4人を中心とした漫画・アニメ作品とのこと。そして、その4人の登場人物の中には鷲宮神社を実家とする双子の巫女さんがいるということで、アニメのオープニング映像にもその神社の映像が出てくるのだという。


北千住駅から東武鉄道の電車に揺られ続けることおよそ1時間強で我々一行は目的地である鷲宮駅へと到着した。


IMG_6808.JPG
▲15時半近くに鷲宮駅に到着


3.『らき☆すた』一色の鷲宮駅前通


IMG_6810.JPG
▲鷲宮駅舎


鷲宮駅はこ洒落た橋上駅舎で、閑静な住宅地の中にある駅というのが最初に降り立った時の印象で、駅を降りた感じではオタクの聖地いう雰囲気は特になく、いたって普通の都市近郊の住宅街という印象であった。


しかし、鷲宮駅から鷲宮神社に向かうにつれて、オタクの聖地という印象が徐々に強く感じられるようになっていく。まず、最初に度肝を抜かれたのが、駅前通りに面した商店の空き店舗の中で製作されていた『らき☆すた』キャラクター神輿。


鉄道乗蔵は恐る恐る中で神輿の製作作業をされている方に「写真を撮らせていただいてもよろしいですか?」と訪ねたところ、建物の中へと入れてもらうことが出来た。


神輿を製作されていたかたのお話では、ちょうど翌週の9月7日(日)に行われる鷲宮神社の土師祭でこの神輿がお披露目されるとのことで、神輿の『らき☆すた』のイラストは群馬県太田市の学生が書いてくれたものであるということであった。なお、群馬県太田市は鷲宮と同じ東武伊勢崎線の沿線にある。


IMG_6812.JPG
▲商店の空き店舗では『らき☆すた』神輿が製作中


さらに鷲宮神社方面に向かって進んでいくと、今度は『らき☆すた』のぼり旗を立てた飲食店に遭遇。のぼり旗をよく見てみるとそこには「鷲宮町商工会」という文字があり、『らき☆すた』が町内の商工業者を巻き込んだ町ぐるみの取り組みであるということを実感する。神輿に続いてのぼり旗もなかなかのインパクトではあったが、ちょうど小腹も空いていたので試しに入店してみることにした。


IMG_6815.JPG
▲『らき☆すた』のぼり旗を出した飲食店


こちらの飲食店については『らき☆すた』のぼり旗などの雰囲気などから、最初は秋葉原にあるメイド喫茶のような店内かなという印象を受けてしまったが、実際に入店してみると地元の気さくなおばちゃんが切り盛りするいたって普通の飲食店で少しほっとすることができた。


しかし、さすが『らき☆すた』とコラボしているだけあって、店内のメニューは『らき☆すた』の登場キャラクターにちなんだものばかりで、ショーケースには『らき☆すた』の登場人物のフィギュアがずらりと並び、さらには箸袋まで『らき☆すた』のキャラクターがあしらわれたものという徹底ぶりで、鷲宮の『らき☆すた』のアニメコンテンツを活用した町おこしに対する本気度を感じる。


IMG_6849.JPG
▲店内の『らき☆すた』フィギュア


鉄道乗蔵は、「つかさのカツ丼だけぇ」を注文。小腹を満たしたところで、再び鷲宮神社へと向かう。


IMG_6850.JPG
▲『らき☆すた』尽くしメニュー


4.これが聖地巡礼の元祖・鷲宮神社だ!


アニメOPで使用された鷲宮神社門前


IMG_6821.JPG
▲アニメのOPで使われたアングル


鷲宮神社が近づいてくるといよいよアニメオタクと思しき観光客の姿が増えはじめる。そして、鷲宮神社の鳥居前に着いたところで「ここがアニメのOPで使われたアングルだから写真を撮ったほうがよいよ。」と友人から促されて写真を撮る。


鷲宮神社の門前には「大酉茶屋わしのみや」という休憩施設を兼ねた飲食店が営業しており店内には『らき☆すた』のキャラクターガチャガチャが置かれていたほか、店舗横にはキャラクター石碑までが展示されており、『らき☆すた』コンセプトの徹底ぶりには驚かされた。


IMG_6826.JPG
▲ガチャガチャが設置された店内


IMG_6825.JPG
▲キャラクター石碑


さらに店舗の前には「キャラクター神輿担ぎ手募集」の掲示が。どうやらさきほどの駅前で目撃した製作中の神輿のことらしい。


募集告知文の横に貼り出された「お知らせ」には、募集定員に達したため既に募集は締め切られた旨掲示が出されていたが、この神輿が登場する土師祭がどのようなものになるのかとても気になってしまった。


IMG_6829.JPG
▲『らき☆すた』神輿担ぎ手募集


神社境内もキャラクターだらけ!?


そして、門前の独特の雰囲気を楽しんだのちいよいよ我々一行は神社境内へと入る。


IMG_6832.JPG
▲普通の神社かと思いきや、、、


神社の参道は至って普通の雰囲気かと思いきや、たくさんの絵馬が掛けられた絵馬掛けを覗いてみるとやはりこの神社がただならぬものであることを再び実感することとなる。


なんと、掛けられている絵馬のほとんどには美少女のアニメキャラクターが描かれていたのである。中には鉄道車両とキャラクターの双方のイラストを描いた絵馬などもあり、鉄道オタクとアニメオタクを兼任するオタク層も多いのだということを実感する。


IMG_6835.JPG
▲大量の痛絵馬


IMG_6834.JPG
▲中には鉄道車両とのコラボも


さらに神社境内の裏手にある駐車場に行ってみるとそこには美少女キャラクターのデザインをあしらった「痛車」の数々が!ここまで来れば鷲宮の町は完全にカオスそのものだ。完全に町全体がアニメキャラに占領されてしまっている。


ナンバープレートを見てみると「浜松」や「大阪」など比較的遠方のナンバープレートを付けた痛車も多く、かなり広い範囲から聖地巡礼のオタク層を集客出来ているということがわかった。まさにアニメ聖地巡礼による町おこし恐るべしだ。


IMG_6846.JPG
▲神社駐車場には痛車が!


鷲宮神社の聖地巡礼は、まさに日本の聖地巡礼による町おこしの先駆けとなった取り組みであるが、日本古来の神々とオタクがコラボした日本建国以来初めての事例となったことは間違いなさそうである。そして、秋葉原以外の場所で「痛車」を見たのもこれは初めての体験となった。


この日は、さまざまな取り組みにインパクトを受けながらも2時間ほど鷲宮町内に滞在し、生まれて初めての聖地巡礼体験を終え東京に戻ることにし、また翌週、土師祭のキャラクター神輿を見るために鷲宮を訪れることにしたのであった。


IMG_6847.JPG
▲鷲宮駅への帰路、特急りょうもう号が見えた


5.いざ土師際『らき☆すた』神輿に参戦!


再び鷲宮神社へ


IMG_7086.JPG
▲土師祭に向かう多くの下車客


衝撃的な聖地巡礼体験から1週間が経過した2008年9月7日、鉄道乗蔵は再び鷲宮へと向かう。今回は土師祭での『らき☆すた』神輿の見学が目的だ。


この日、鷲宮駅へと到着したのは17:30。『らき☆すた』神輿参加者の集合が18:00ということだったので、鉄道乗蔵もその時間に合わせて鷲宮神社へと向かうことのする。鷲宮駅では土師祭に向かうと思われる多くの下車客があり、鷲宮神社へと向かう通りは既に多くの来訪者で混雑していた。あいにくの小雨模様であったのは少々残念だ。


IMG_7090.JPG
▲祭り客で混雑する大酉茶屋


『らき☆すた』神輿にご対面!


IMG_7094.JPG
▲大酉茶屋前には『らき☆すた』神輿が鎮座


鷲宮神社門前に着くと、大酉茶屋の前には既に完成した『らき☆すた』神輿が鎮座。写真撮影にいそしんでいるアニオタさんたちもいらっしゃるようであった。


そして、神輿の横にはお揃いの『らき☆すた』Tシャツを着た一団が。この方々が、本日の『らき☆すた』神輿の担ぎ手の方々らしく、鷲宮神社の関係者と思しきかたから神輿に関するレクチャーを受けていた。


IMG_7109.JPG
▲神輿参加者ガチ勢


『らき☆すた』神輿出陣!


IMG_7159.JPG
▲『らき☆すた』神輿出陣!後ろに伝統の神輿が続く


2008年9月7日18:30『らき☆すた』神輿はいよいよ出発の時を迎える。恐らくは、由緒と伝統のある神社のお祭りでこのような美少女アニメキャラ神輿が出陣するのは日本で初めてのケースではなかろうか。


参加者一同は独特の熱気に包まれながら『らき☆すた』神輿は鷲宮の街へと繰り出していく。そして、もともとの鷲宮神社の伝統神輿が『らき☆すた』神輿に続いて出発する。


多くの参加者で埋め尽くされた神社門前の通りをしばらく進んでいくと、祭りへの参加者は神輿の担ぎ手、そして見学者を含めて連帯感に包まれていく。そして、神輿担ぎについては飛び入り参加もウエルカムといった雰囲気になり、何名かの参加者が神輿担ぎに加勢する。


鉄道乗蔵も、短い時間ではあったがこの『らき☆すた』神輿担ぎに加わることができ、大変貴重な経験をすることができた。そして、『らき☆すた』神輿に続く伝統神輿のほうにはコスプレーヤーさんの飛び入り参加もあり、祭りはますますの熱気に包まれていた。


IMG_7146.JPG
▲コスプレイヤーさんも飛び入り参加!


6.あとがき


鷲宮神社の『らき☆すた』聖地巡礼は、日本でアニメコンテンツが町おこしに対して大きな経済効果を発揮するということを初めて一般に認知させた先駆的な事例である。


それまで、『らき☆すた』のような美少女系のアニメコンテンツは一部のオタクの趣味としてマイナーな部類に入るものであったが、『らき☆すた』の聖地巡礼効果により鷲宮神社の参拝者が劇的に増加したことを受けて、美少女アニメコンテンツは一気にメジャーなコンテンツという市民権を得るようになる。


鷲宮の聖地巡礼で特筆するべき点は、鷲宮町商工会(現久喜市商工会鷲宮支所)が積極的にオタク観光客の受け入れ態勢の整備を行い、かつ今日まで10年に渡って『らき☆すた』神輿関連のイベントを維持し続けている点にある。


地方における町おこしの取り組みについては、例えば行政の補助金の打ち切りと同時に取り組みが終了し一過性のものとなってしまうものも多い中、鷲宮のケースでは地域の商工業者が一体となり継続的に取り組みを実施し続けられている点は全国的に見てもかなり優秀なケースだろう。


今後も日本国内のコンテンツ産業の発展と鷲宮の更なる『らき☆すた』コンテンツの取り組みの発展を切に願いたい。






この記事へのコメント

人気記事 - 24時間以内

人気記事 - 先月