2017年9月14日、JR北海道は突如として「ニセコエクスプレス」の引退を発表。
突然の発表に驚いたファンも多かったのではないかと思うが、この「ニセコエクスプレス」の引退に当たってラストラン運行が2017年10月29日、11月3日と4日の3日間に渡って実施された。
鉄道乗蔵も、11月3日と4日のラストラン運行に参加をしたので、今回は後編として11月4日のラストランイベントの様子を紹介したい。
<前編の記事はこちら>
⇒ラストラン『ニセコエクスプレス』乗車記!前編
目次
1.ラストラン『ニセコエクスプレス』の概要
「ニセコエクスプレス」は1988年にキハ183系5000番台気動車として新造され、主に冬期間に札幌~ニセコ間を結ぶ臨時特急「ニセコスキーエクスプレス」として運行されてきたほか、それ以外の期間には各地を走る臨時列車や団体列車として活躍してきた車両である。
なお、このとき発表されたラストラン運行の概要は下記の通りであった。
●運転日
・10月29日(日)、11月3日(金・祝)、4日(土)
●運転時刻
・上り
札幌7時57分発→蘭越11時44分着
倶知安14時19分発→蘭越15時01分着
・下り
蘭越12時24分発→倶知安13時06分着
蘭越15時10分発→札幌18時42分着
・途中停車駅
小樽、余市、倶知安、ニセコ、昆布
札幌駅を発着する列車は、札幌~倶知安間に限り全車指定席の特急として運転。この区間では記念乗車証明書の配付を実施。倶知安~蘭越間は全車自由席の快速として運転。
当日は、余市、倶知安、ニセコ、蘭越の各駅で特産品の販売やご当地キャラクターのお出迎えなどが予定。また、倶知安とニセコの両駅では、営業運転を始めたころの「ニセコエクスプレス」の写真をデザインした記念乗車券も販売も予定。
2.11/4(土)倶知安~蘭越間を往復する!
倶知安駅へ!
2017年11月4日(土)13時頃、鉄道乗蔵は昨日のニセコ駅に続いて倶知安駅へと降り立った!この日も全席自由席の快速列車として運行される倶知安~蘭越間のラストラン『ニセコエクスプレス』にピンポイントで乗車する。
倶知安駅は国鉄主要駅によく見られたような鉄筋コンクリート2階建てのいわゆる国鉄ビル駅舎で、北海道新幹線が札幌に延伸した際には倶知安にも新幹線新駅が設置されることなっている。
乗蔵は、さっそく蘭越までの乗車券を購入するために駅舎内へ。蘭越までの往路の乗車券は記念切符で、復路の乗車券はマルス券により購入した。この日は倶知安駅で記念フラッグの配布も無料で行っており、こちらもあわせて手にすることができた。
また、余談ではあるがなぜかレッドブルのキャンペーンガールも倶知安駅に来ており、改札口で駅員氏と駅構内でのキャンペーンの可否について話をしている姿も印象的であった。
倶知安駅構内で『ニセコエクスプレス』を迎え撃つ!
切符の購入も済んだところで、乗蔵はいよいよ倶知安駅構内へ。午前中に倶知安~蘭越間を全席自由席の快速列車として1往復した『ニセコエクスプレス』が到着する時刻は13時6分だ。
定刻通りに倶知安駅に入線した『ニセコエクスプレス』からは大勢のファンが吐き出され、倶知安駅のホームは活気づく。皆、思い思いにその雄姿をカメラに収めているようだ。
折り返し蘭越に向けての発車時刻は14時19分とのことで、ちょうど倶知安駅のホームには倶知安駅の駅長氏も出ていたことから、乗蔵は折り返しの客扱いの開始時刻を尋ねてみることにした。すると、現在停車中の3番線に14時頃まで留め置いた後、2番線から14時10分に発車する小樽行普通列車が出発後、『ニセコエクスプレス』を2番線に転線し客扱いを開始すという情報を教えてもらうことが出来た。
13時30分も過ぎた頃、すでに折り返しの蘭越行が発車する2番ホームには『ニセコエクスプレス』を待つ列ができ始めていたことから、乗蔵もなるべく展望席に近い席を確保したいと思い早めに列に並ぶことにした。
そして列に並び続けることおよそ45分、14時14分ころ発車の5分前に3番線より転線してきた『ニセコエクスプレス』が2番線へと入線。客扱いが始まった。
乗蔵もさっそく車内へと乗り込み、展望席から3列目窓側の3号車3番A席を無事確保。記念にフラッグと座席の写真を撮っていたところ、「ここの席よろしいですか?」と一人の青年が現れる。話を聞くと札幌市近郊の大学に通う3年生で鉄道研究会の代表をしているという彼と今回は倶知安~蘭越間の行程をご一緒させていただくこととなった。
倶知安駅を発車!そして蘭越駅へ!
蘭越行の快速『ニセコエクスプレス』は14時19分、定刻通りに倶知安駅を発車。蘭越駅までの所要時間は42分である。
倶知安駅を発車すると展望席に近い席を確保できたファンの方々はみな思い思いに動画や写真の撮影を始めた。近年はスマートフォンやタブレット端末、多機能型コンパクトデジタルカメラの普及により、鉄道趣味の楽しみ方はより多様性を増しているようである。
倶知安から蘭越にかけてはほぼ尻別川に沿った区間を走行する。その中で倶知安~ニセコ間の車窓風景のハイライトは、1921年(大正10年)に建設された王子製紙尻別川第一発電所の遺構群だ。この発電所は2006年までは王子製紙苫小牧工場に電力を送るための発電施設として稼働されていた。
発電所を過ぎるとまもなくして列車はニセコ駅へと到着。前日にも増して大勢のファンが『ニセコエクスプレス』の到着を待ち受けていたことが印象的であった。ニセコ駅ではまた8分間の停車時間があったことから、この停車時間を利用してホームへと降りたファンの方も多かったようである。
ニセコ駅を発車するとさらに山の中に続く2条の線路をひた走り昆布駅へと停車。
蘭越中学校の吹奏楽部の演奏と大勢の地元関係者が待ち受ける蘭越駅へと到着したのは15時1分のことであった。
蘭越から折り返し倶知安へ!
蘭越での停車時間は9分間と折り返しまでの時間が短いため、乗蔵は手早く写真撮影などを済ませて再び『ニセコエクスプレス』へと乗車することにする。
折り返し蘭越駅を15時10分に発車する『ニセコエクスプレス』は、いよいよ最後の旅路となる札幌に向けて定刻通りに出発した。蘭越駅を発車する際には蘭越中学校の吹奏楽部の音色に見送られながらゆっくりとホームを離れる。
車窓から見えたニセコ連峰の山々は前日の風景とはうって変わり、うっすらと雪化粧した風景に変わっていたこともまた印象的であった。
蘭越~倶知安間の復路の乗車の際も、往路で同席した大学3年生の鉄道研究会代表の青年と再び同席することとなったため、いろいろな話をすることができた。
青年は、札幌~倶知安間の往復の指定券を確保できたことから、この日は日中の倶知安~蘭越間の2往復の快速運行を含めて1日中『ニセコエクスプレス』の旅を堪能していたという。その青年の行程の中で、倶知安~蘭越間の快速運行の2往復目で鉄道乗蔵と同席をすることになったそうだ。
肝心の指定券の確保については10時打ちで確保したというわけではなく、ちょうど最寄駅のみどりの窓口で余分に発券していた券があり、その券を販売してもらうことで往復分の指定券を確保できたのだという。なんとも幸運な話だと思う。
そんな鉄道研究会代表の青年と乗り鉄話に華を咲かせているうちに、40分の時間があっという間に過ぎてしまい、列車は盛大な和太鼓の演奏が鳴り響く中、倶知安駅へと到着した。
乗蔵は、残念ながら倶知安~札幌間の指定券は持ち合わせていないことから、倶知安駅で下車。青年とはここで別れを告げることなった。
『ニセコエクスプレス』最後の旅路へ
全席自由席の快速『ニセコエクスプレス』が倶知安駅へと到着したのは15時52分。ここで8分間の停車を経たのち、倶知安駅からは全席指定の特急『ニセコエクスプレス』として16時に札幌駅へと向かって最後の旅路に出発する。
乗蔵も最後の雄姿をこの目に焼き付けようと、倶知安駅の跨線橋で数名の同業者の方々とスタンバイ。16時ちょうどに札幌駅へと向かう雄姿をこの目に焼き付けて今回の『ニセコエクスプレス』旅を締めくくることになった。
3.Twitterへも記事を投稿!
今回のラストランイベントへの参加の様子はリアルタイムでTwitterにも配信。たくさんの「いいね!」やRTをくださった皆様には心より感謝申し上げます。
「ニセコエクスプレス」ラストラン!結局、今日も乗ります!笑笑 pic.twitter.com/HOYubNSjGD
— 鉄道乗蔵 (@noruzo_tetsudo) 2017年11月4日
記念フラッグとか🚩乗車券とか良さげです!
— こしがやJoh▷19日東武ファンフェスタ (@koshigayajoh) 2017年11月4日
「ニセコエクスプレス」倶知安〜蘭越間でのラストラン、乗車完了です。この区間は全席自由席の快速列車のため、早めに並ぶことで前から3列目の席を確保。前面展望も楽しむことができ素敵な旅となりました。特急ニセコエクスプレスは16時に札幌に向かって倶知安駅を発車。最後の旅路につきました。 pic.twitter.com/ElAP4k1WWo
— 鉄道乗蔵 (@noruzo_tetsudo) 2017年11月4日
4.ラストランイベントの締めは留寿都温泉へ!
そして、本当の旅の締めくくりは北海道の秘湯「留寿都温泉」へ。
ここの温泉は、源泉かけ流しの湯にたった200円で入れてしまうことが大きな特徴なのです。
鉄ヲタ的な視点で解説をすれば、留寿都温泉の最寄駅は国鉄旧胆振線の喜茂別駅となり、いにしえの鉄道敷設法ではこの近くに留寿都線の建設も計画されていたのでした。
<前編の記事はこちら>
⇒ラストラン『ニセコエクスプレス』乗車記!前編
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