乗り物ヲタク系コンテンツを活用した町おこしは可能か!?北海道江別市役所へ意見交換に行く。

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2017年10月某日。きっかけは鉄道乗蔵が運営しているツイッターアカウントへの1通の通知であった。


いつものようにツイッターの通知を確認していると、鉄道乗蔵が投稿した「週2便しか運行がない夕張鉄道バスのバス停画像(江別市内に所在)」をリツイートしてくれたアカウントの中に気になるものを見つけた。


『江別なう』


そのアカウントを調べてみると、北海道江別市役所が関係した江別シティプロモート推進協議会が運営しているアカウントであることが判明。さらに鉄道乗蔵が執筆した「運行本数は週わずか2便!夕張鉄道バスの免許維持路線に乗る!」のブログ記事のリンクまでシェアをいただいていたこともわかった。


鉄道乗蔵のブログ記事がこのような行政機関が関係したアカウントで紹介をいただいたことは今回が初めてのケースであったこともあり、さっそくシェアをいただいたツイートにコメントを記し、江別市役所の江別シティプロモート推進協議会の担当の方に連絡を取ってみたことが、今回の意見交換へとつながった。



▲実際のツイート


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運行本数は週わずか2便!夕張鉄道バスの免許維持路線に乗る!



目次



1.北海道江別市へ


2017年11月某日、ちょうど仕事の打ち合わせで江別市方面へ行く機会を得た鉄道乗蔵は、江別市役所のシティプロモートの担当の方にもお約束をいただき、まずはご挨拶と意見交換という形で担当部署のほうを訪問させていただくことになった。


江別市は札幌市から20kmほどの距離に位置する札幌近郊のベッドタウンで、アクセスはJR函館本線が便利である。札幌~江別間には日中1時間当たり快速列車と普通列車を合わせて5本の運行があり、札幌からのアクセスは非常によい。


江別市役所は江別駅の一つ手前である高砂駅が最寄りになるということだったので、乗蔵はまずは高砂駅へと向かうことにした。札幌駅から高砂駅までの所要時間はおよそ20分。札幌近郊区間ということもあって利用客は多い。さっそく札幌駅6番線から3両編成の733系電車に乗り込んだ。


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▲江別行普通列車に乗車!


この日は、11月も半ばを過ぎたということもあって、北海道の風景は一面の銀世界へと変わっていた。乗蔵は、そんな景色をよく見てみたいという思いもあり、かぶりつきの出来る運転席後ろのポジションを確保。ロングシートの通勤型電車ながら、前面展望を満喫し20分間の小旅行を楽しむことにした。


札幌駅を発車して、最初に目についたのが現在、橋上化に向けて新駅舎の建設が進む苗穂駅構内の風景。新駅舎や新ホームの骨組みはある程度は出来てきている様子で、懐かしい苗穂駅の木造駅舎が姿を消してしまうのはそう遠くない未来となってしまうようである。


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▲新駅舎の建設が進む苗穂駅構内


列車は、札幌駅を発車すると苗穂駅に続いて、白石、厚別、森林公園に停車。そして、大麻駅からが江別市内となる。大麻駅を過ぎると2011年に高架化された野幌駅を含む高架線の区間に入り、江別市内の街並みを一望することが出来る。


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▲野幌駅付近の高架橋から一望した江別市の街並み


江別市は、明治時代、屯田兵が鬱蒼とした原生林を開拓し石狩平野中央部に建設した都市で、およそ12万人の人口を擁する。札幌市のベットタウンという要素も兼ね備えた都市でもあるが、一戸当たりの住宅の敷地が大変広く取られていることが特徴で、例えるならば、米国シカゴ市郊外の高級住宅地の街並みを連想させるゆったりとした佇まいが印象的だ。


野幌駅からの高架橋を下ると列車はすぐに高砂駅へと到着。ここが江別市役所への最寄駅だ。


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▲ここまで乗車した733系電車


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▲高砂駅


2.いざ江別市役所での意見交換へ


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▲江別市役所全景


江別市役所は、高砂駅の北口から徒歩で数分の距離にある。


事前のお電話によるお話では、現在、江別市のシティプロモートに関する情報収集については、鉄道マニア、バスマニアなどのヲタク系のコンテンツも含めアンテナを高くして幅広く実施をしているとのことであった。そして、そうした中で鉄道乗蔵のブログ記事についてもシティプロモートの担当者の方の目に留めていただくことが出来『江別なう』のツイッターアカウントでご紹介をいただけたとのこと。


今回の江別市役所の訪問に当たっては、こうしたヲタク系のコンテンツを活用した町おこしが可能かどうかといった点に焦点を当て、意見交換を行うこととなった。


江別シティプロモート推進協議会について


ツイッターアカウント『江別なう』の運営を行っている、江別シティプロモート推進協議会は、江別市の魅力を幅広く発信することを目的に市内の13団体で発足した協議会とのことだ。


江別市は、札幌市から快速列車に乗ると16分ほどでアクセスすることが出来、快適な住環境が整っている都市であるほか、広大な農地もあり酪農や小麦の栽培が盛んであることから発信すべきネタは豊富にあるという。そのため、現在はこうした江別市の地域資源に関連した情報を広く収集し、ツイッターなどで定期的に情報発信をしているとのことであった。


しかし、その一方で、情報発信をするべき内容が散逸してしまい、思った以上にホームページのアクセス数やツイッターのフォロワー数が伸びないという課題を抱えられているようでもあった。


現在、鉄道乗蔵が運営するコンテンツに関しては、ブログを7月上旬に開設以降11月中旬までの4ヶ月半で累計PV数は既に9万を超えており、さらにツイッターも8月上旬に開設以降3ヶ月半でフォロワー数が3,500人を超えていることを考えると、鉄道マニア層のうちでもさらに「乗り鉄」というカテゴリにターゲットを絞った情報発信を続けて来たことが功を奏したのかもしれない。


そして、意見交換の内容はいよいよ夕張鉄道バスの話題へ。


夕張鉄道バスを取り囲む現状と課題について


夕張鉄道は、夕張市内で産出される石炭の小樽港への輸送を目的に大正時代末期に設立された鉄道会社で、かつては江別市内の野幌駅と夕張市内の夕張本町駅を結ぶ鉄道路線を運営していた。


しかし、石炭産業の斜陽化に伴い、1971年(昭和46年)より順次路線を縮小。1975年(昭和50年)には全線の鉄道営業を廃止し、バス専業の会社となった。野幌駅が夕張鉄道の国鉄線との連絡駅であった名残で、現在でも野幌駅近くには夕張鉄道バス野幌ターミナルが置かれおり、江別市は夕張鉄道バスにとって重要な営業拠点の一つとなっている。


そんな夕張鉄道バスであるが、江別市役所の方のお話によると、やはり他のバス会社と同様に乗客減と運転手不足双方が課題となっているようで、打開策となりそうなアイディアがあればぜひお話を伺ってみたいとのことであった。そして、バスマニア界隈で夕張鉄道バスに関してホットな話題などがあればぜひ情報提供をいただきたいとのことも。


鉄道乗蔵は、鉄道マニアの実態についてはかなり詳しく熟知をしているつもりではあるが、バスマニアの実態についてはあまり把握できていないので、この点について情報収集を行うことが今後の課題となった。


ヲタク系コンテンツを活用した町おこしの事例


ちなみに、市役所の方の話によれば、ヲタク系のコンテンツに着目して町おこしを模索する自治体は増加傾向にあるようで、例えばコスプレイベントで町おこしを図っている自治体もあるとのこと。


鉄道系のコンテンツに関しては、現在、宗谷本線沿線の幌延町が野村総合研究所より出版された『オタク市場の研究』という本の情報をもとに、日本国内の鉄道ヲタクの推計人数およそ250万人のうち1%の2万5千人を幌延町に呼び込むことを目標に、宗谷本線の無人駅などを活用した町おこしを図ろうとしているのだということも教えてもらうことが出来た。


今後どのような展開が考えられるのか


今回の意見交換から見えたことは、鉄道やバス、さらにはコスプレなどのヲタク系コンテンツが町おこし活動に有用であるという認識が国内の自治体関係者に確実に広がってきており、それを実践して成果に結びつく事例も増えてきているということだ。


一方、情報発信を行う際には、その地域に沢山の魅力があるからといってあれもこれもと発信をしてしまうと、発信するべき情報が散逸してしまいなかなか成果に結びつきにくいという実態も明らかになった。こうしたことから情報発信の効果を確実に得るためには、特定のカテゴリにターゲットを絞った深みのある情報発信を行う必要がありそうだ。


以上の意見交換の内容を総合して考えると、夕張鉄道バスを題材とした町おこしを行うためには、まずは「①バスマニアの視点からみた夕張鉄道バス特有の魅力を明らかにすること」「②バスマニアが好む内容に特化した情報発信を行うこと」の2点がキーポイントとなりそうだ。


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最後に、市役所の方から江別市のパンフレットをいただき、鉄道乗蔵ロゴマークと記念撮影を行って今回の意見交換を締めくくることとなった。


3.バスマニアが好むコンテンツとはいかなるものか


今回の意見交換に関してはツイッターにもリアルタイムで下記の内容を投稿。



するとバスマニアのフォロワーさんよりさっそくバスマニア界隈の夕張鉄道バスに関するホットな話題の情報提供をいただくことができた。


現在、夕張鉄道バスでホットな話題は、2012年に東京都交通局から譲渡された中古車両が運行されていることで、東京都交通局時代のままの塗装で夕張市内の循環線で運行されているとのことだ。




<夕張鉄道公式HP>
2012/11/14 都営バスカラーの車両を夕鉄バスで運行します


さらにフォロワーのTROさんが寄せてくれた情報によると、鉄道マニアが古い車両を好むのと同様で、バスマニアも古い車両に興味がある人は多いとのこと。首都圏などの大都市部では、車種の画一化が進んでおりバラエティに富んだ車両が見られなくなってきていること、また、排ガス規制の影響を受けて走れなくなった車両が中古車として地方に譲渡されるケースなどが増えていることから、こうした古いバス車両を地方に追いかける風潮があるのだという。


現在、人気のある車種として代表的なものは、日野レインボーの中型ロングボディの通称「モヤシ」。その他には西日本車体工業の「カマボコ」と「はんぺん」なども人気があるという。さらに、「ダックスフンド」や「ナマズ」と呼ばれている車種もあるというのが面白い。


「モヤシ」


2000年~2010年まで製造されていた、幅が中型車規格の2.3m、長さが10.5m規格のバス(中型長尺・中型ロング・ナロー車などと呼ばれる)が通称「モヤシ」と呼ばれている。車体が低くて細長く見えることから、このようなあだ名が付けられた。


代表的な車種は日野レインボーHRという。



「カマボコ」と「はんぺん」


かつて西日本車体工業がボディーを製造していた「カマボコ」や「はんぺん」なども昭和を代表するバスとして根強い人気があるとのこと。





「ダックスフンド」


三菱ふそうエアロミディ中型ロングバスは、そのスタイルからダックスフンドと呼ばれている。




「ナマズ」


新潟といえば新潟交通の「ナマズ」が有名らしい。地元の北村製作所で製造されたボディはそのスタイルから「ナマズ」の愛称が付けられている。


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鉄道乗蔵は、今回、初めてバスマニア界隈の奥深い情報を知ることが出来たが、バスの車体に食べ物や動物の愛称が付けられていることなどは、イメージがわきやすく面白い点だと感じた。


4.町おこしへの提言


2012年に東京都交通局より夕張鉄道に譲渡された中古のバスであるが、当時は北海道新聞にも記事が掲載されたほか、バスマニア界隈のブログでも話題となっていたようである。しかし、ここ数年に関しては乗車記などのブログ記事や関連した話題はあまり見受けることができなかった。


個人的な意見としては、夕張鉄道バスを題材とした町おこしという視点で考えれば、このバスの詳細な運行情報を改めて関係機関のホームページなどにアップしてバスマニアに対する情報発信を充実させる。また、東京都交通局カラーのバスが北海道の大地を走るということ自体が話題性を呼び、かつ観光資源となることも十分に考えられることから、このバスをかつての夕張鉄道線が走っていた野幌~夕張間の路線に導入し、野幌駅を入り口とした夕張市への観光客の送客ツールとして活用することも、新たな話題性を呼び起こし江別市と夕張市の双方にとっての町おこしの一つのきっかけになるのではないかと思っている。この方法であれば、お金はかからない。


今後、どのような展開が考えられるのか、再び機会を見つけて意見交換に行ってみたいと思う。


5.免許維持路線のバス停も確認へ!



最後に乗蔵は、市役所訪問の合間を縫って、今回の意見交換の発端ともなったバス停も確認に行ってきた。前回、このバス停からバスに乗ったのは7月のことではあったが、10月1日にダイヤ改正が行われていたようで、7月時点の11時19分から発車時刻が14分繰り上がり11時4分発となっていたことが印象的であった。


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▲高砂駅近くにある免許維持路線のバス停風景


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▲7月訪問時の様子


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