
はじめに
東京都心を環状運転しているJR山手線は鉄道ファンならずともその存在を知っている方は多いだろう。そして、一方の大阪にも大阪市内を環状運転するJR大阪環状線という路線が存在する。
東京と大阪。この2つの都市は何かと比較されることが多い都市ではあるが、今回はこの2つの都市の重要路線である東京・山手線と大阪環状線はいったいどのように違うのか、比較を行ってみたところ大きく8つの違いが浮かび上がってきた。
目次
0.山手線vs大阪環状線
山手線は、JR東日本が運営する鉄道路線で、東京駅から品川駅、渋谷駅、新宿駅、池袋駅、上野駅、秋葉原駅などの東京都心のターミナル駅を回り、東京駅へと至る環状運転を行う34.5kmの運転系統である。
一方の大阪環状線は、JR西日本が運営する鉄道路線で、大阪駅から野田駅、西九条駅、新今宮駅、天王寺駅、鶴橋駅、京橋駅など大阪市内の地下鉄、私鉄路線との乗り換え駅を回り、大阪駅へと至る21.7kmの路線である。
東京と大阪の2大都市を代表するJRの環状路線について違いを比較したところ下記の表の通り大きく8つの違いが浮かび上がってきたので、以降はそれぞれの違いについて詳しく解説をしていきたい。
1.運営会社の違い
まず、1つ目の違いを挙げるとすればそれは運営会社の違いだろう。山手線はJR東日本により、大阪環状線はJR西日本により運営されている路線だ。
JR東日本について
JR東日本は1987年の国鉄分割民営化に伴って発足した企業で、本社を東京に置き、主に関東甲信越地方から東北地方にかけての鉄道路線を管理・運営する鉄道会社である。
JR東日本本社ビルは、山手線の新宿駅の最寄に位置し、山手線の車窓からも本社ビルの様子を見ることが出来ることが特徴だ。
なお、JR東日本のコーポレートカラーは緑色となっている。
JR西日本について
JR西日本も1987年の国鉄分割民営化に伴って発足した企業で、本社を大阪市に置き、主に関西、北陸地方から西側の本州島内においての鉄道路線を管理・運営する鉄道会社である。
JR西日本本社ビルは、大阪駅の北側で阪急線の線路沿い近くに位置することから、JR東日本本社とは違って大阪環状線はおろか東海道本線なども含めたJR線の車窓から本社ビルの姿を見ることは難しい。
なお、JR西日本のコーポレートカラーは青色となっている。
2.色の違い
2つ目の違いとしてはラインカラーをイメージさせる車体色の違いが挙げられる。
山手線は黄緑色
山手線で活躍する主力車両はE235系直流一般型電車で、先頭車両前面と車両側面の扉部分に山手線のラインカラーをイメージした黄緑色の塗装が施されている。
山手線のラインカラーの歴史は、最初から黄緑色という訳ではなく開業から戦後の1960年代初めまでは茶色い72系電車主力車両として使われていたが、1961年に新性能電車である黄色い101系電車が導入されたのち、1093年になって黄緑色の103系電車の導入が始まり、山手線のラインカラーが黄緑色として定着していった。
▲山手線の主力車両E235系(画像はWikipediaより引用)
大阪環状線はオレンジ色
一方の大阪環状線で活躍する主力車両は323系直流通勤型電車で、車体色はラインカラーをイメージしたオレンジ色の帯が入ることが特徴だ。
大阪環状線のラインカラーの歴史は、1961年の開業当初からオレンジ色の101系電車が使用されていたことからオレンジ色のイメージが定着していくことになっていた。なお、大阪環状線の正式なラインカラーは赤であるが、オレンジ色の電車のイメージが強いせいかラインカラー自体もオレンジであると理解をされている方が多いことも特徴となっている。
▲大阪線の主力車両323系(画像はWikipediaより引用)
3.ドア数の違い
3つ目の違いとしては主力車両のドア数の違いが挙げられる。
山手線は4ドア
山手線の車両のドア数は、戦後の日本国有鉄道発足当初から1両に4つの扉が付いている4ドア車の運用が続けられてきている。現在使用されているE235系電車は1編成の11両すべてが4ドア車両に統一されているが、1世代前のE231系500番台電車では7号車と10号車に6ドア車が組み込まれていた時期があった。
大阪環状線は3ドア
一方の大阪環状線のドア数は、1両に3つの扉が付いている3ドア車の321系電車が主力車両として運行されている他、大阪環状線から奈良方面に直通する大和路快速の221系や関西空港・和歌山方面に直通する関空・紀州路快速の223系・225系も3ドア車両で統一されていることが山手線との大きな違いである。なお、2019年に4ドア車の201系電車が引退するまでは大阪環状線には4ドア車と3ドア車が混在して運用されていたが、現在では全て3ドア車に統一されている。
4.車両数の違い
4つ目の違いとしては、1編成あたりの車両数の違いが挙げられる。
山手線は11両
山手線のE235系電車は11両編成で運行されている。1991年までは205系による10両編成の運行であったが混雑緩和のため6扉車を1両増結し山手線の11両編成化が実施され、その後は、2002年のE231系、2015年のE235系と山手線の新型車両が導入される際には11両編成での登場となっている。
大阪環状線は8両
大阪環状線の電車は、2020年3月のダイヤ改正より大阪環状線内完結運行の323系、大和路快速の221系、関空・紀州路快速の223系・225系ともに8両編成に統一されることになった。ダイヤ改正前までは大和路快速の221系は6両編成のものと8両編成のものが混在していたが、改正後は大阪環状線内を走る普通・快速列車は全て8両編成の3扉車に統一される。
5.踏切の有無
5つ目の違いとしては、線内における踏切の有無が挙げられる。
山手線は1箇所
山手線の駒込~田端間には線内唯一の踏切である「第二中里踏切」が存在している。しかし、遮断時間が長い「開かずの踏切」であることから近い将来、踏切が廃止になる可能性も取り沙汰されている。
▲山手線唯一の第二中里踏切(画像はWikipediaより引用)
大阪環状線はゼロ!
一方の大阪環状線には、2012年まで新今宮駅~天王寺駅間に線内唯一の踏切である一ツ家踏切が存在したが、安全上の理由から廃止され現在の大阪環状線には踏切は存在しなくなった。
▲2012年7月1日に廃止された一ツ家踏切。手前から内回り、関西本線上り・下り。高架線は外回り(画像はWikipediaより引用)
6.接続している新幹線駅の有無
6つ目の違いとしては接続している新幹線駅数の有無が挙げられる。
山手線は3駅
山手線は、北から上野駅、東京駅、品川駅の3駅で新幹線路線への乗り換えが可能となっていることが特徴だ。その中でも東京駅は日本の新幹線網の中心駅であるかとから、九州新幹線以外の東北・秋田・山形・北海道新幹線、上越・北陸新幹線、東海道山陽新幹線で新幹線の通じている国内のあらゆる場所へと向かうことが可能となっている。
大阪環状線はゼロ!
一方の大阪環状線では接続している新幹線のが1つもないことが山手線との違いとなっている。大阪の新幹線駅である新大阪駅は、東海道本線との交差部分に設けられており、大阪駅とは淀川を挟んだ対岸の場所に位置している。なお、新大阪駅は東海道・山陽新幹線の他、九州新幹線も鹿児島中央駅から直通していることが東京駅にはない特徴だ。
7.快速の有無
7つ目の違いとしては快速列車の設定の有無が挙げられる。
山手線は無し
山手線で運行されている列車は全て線内をぐるぐる回り続ける各駅停車の列車のみの設定で快速列車の設定はされていない。
大阪環状線は有り
一方の大阪環状線は、天王寺駅を始発として大阪環状線を1周して奈良方面に向かう大和路快速と関西空港・和歌山方面に向かう関空・紀州路快速の設定があり、大阪環状線内での快速運転が実施されている。
▲大阪駅に停車中の大和路快速(画像はWikipediaより引用)
8.遠心力の有無
8つ目の違いとしては遠心力の有無が挙げられる。
山手線は無し
山手線はそもそも線内完結の環状運転の電車しか設定がされていないので、遠心力という概念が存在しない。
大阪環状線は有り
一方の大阪環状線は、快速列車で熟睡してしまい乗り過ごしてしまうと、遠心力の影響で奈良や和歌山に飛ばされてしまう可能性があることがら注意が必要である。
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