部分開業直後の九州新幹線に乗る! 2004年夏休み・日本列島縦断の旅⑲

2004年8月28日。小樽を出発して9日目(全行程19泊20日)。
昼過ぎに長崎駅を普通列車で出発した乗蔵が、この年の3月に部分開業したばかりの九州新幹線の始発駅の新八代駅に到着したのは18時28分、日も沈みかけている頃であった。8月28日の最後の行程では、新八代18時49分発の九州新幹線つばめ21号で新八代~鹿児島中央間を制覇する。
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新八代駅在来線改札口

新八代駅の在来線駅舎と新幹線駅舎は完全に分離されており、普通列車などで在来線ホームに降り立った乗客は、一度、橋上駅舎である在来線駅舎の改札口を抜け、完全に外に出たのち、高架駅舎である新幹線駅舎に改めて向かう必要があった。
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在来線駅出口から見た新幹線駅舎

乗蔵も、新八代駅の在来線駅舎から新幹線駅舎に向かう。在来線駅舎を出るとそこには、鹿児島に向かって緩いカーブを描きながら一直線に伸びていく真新しい新幹線高架橋の姿が夕日に照らされている光景があり、印象的なワンショットとなった。
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鹿児島中央駅に向かって伸びる新幹線高架橋

そして、新幹線駅舎ではさっそく事前に購入してあった鹿児島中央までの乗車券と新幹線特急券を真新しい自動改札機に投入し、新幹線ホームへと出ることにした。
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新八代駅新幹線改札口

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ここで、部分開業したばかりの九州新幹線の特徴について少し述べたい。

通常、鉄道路線というものは、起点となる駅から遠方に向かって順次、線路が延伸していくことが常である。

東京~博多間を結ぶ東海道・山陽新幹線は、まず1964年(昭和39年)に東海道新幹線区間の東京~新大阪間が開業。その後、東海道新幹線に接続する形で、山陽新幹線の新大阪~岡山間が1972年(昭和47年)に開業。そして、1975年(昭和50年)になり、山陽新幹線最後の区間となる岡山~博多間が延伸開業し、全線開業を果たしたという経緯を持つ。

しかし、この九州新幹線に限っては、終点の鹿児島中央駅から途中の新八代駅までの間が最初に開業し、どこの新幹線路線とも接続をすることなく鹿児島中央~新八代間のみが日本の新幹線路線網の中の離れ小島のような状態でシャトル運行を開始したことが、日本の新幹線史上において類を見ないことであり大きな話題となった。

また、新幹線の未開業区間である博多~新八代間には新幹線列車に接続するリレーつばめ号が運転され、新八代駅の新幹線ホームで在来線特急のリレーつばめ号と九州新幹線のつばめ号が対面乗り換えできることも大きな話題となり、こうした運行体系の構築は、まさにJR九州の意欲作ではないだろうかとの印象を受けた。

九州新幹線がこのような形で部分開業がされることに至った経緯については、もともと政府の新幹線建設の基本計画が博多~鹿児島中央間を建設することにあることから、一番の時間短縮効果が見込める鹿児島中央~新八代間を先に建設したほうが良いのではないかといった話が前提としてあったそうだ。

博多から順次、鹿児島方面に向かって延伸をしていった場合は、政治的なリスクなどにより途中で建設が凍結されてしまう危険が高くなるが、鹿児島から先に建設すれば、必ず博多まで建設をせざるを得なくなるといった関係者の思惑もあったようで、最終的には鹿児島側の政財界関係者の新幹線開業にかける熱意が非常に大きかったとのことで、このような日本の新幹線史上類を見ない新幹線の部分開業が実現したそうだ。

まさに、九州新幹線鹿児島ルートの開業については、鉄道の新線建設計画を推進させるためには、なによりも地域の熱意が重要であるとともに、プロジェクトを中断させることなく推進させていくための大義名分つくりのようなものが大切ではないかということを実感させる事例であった。

乗蔵が新八代駅のホームに上がると、これから乗車するつばめ21号は既にホームへ入線済であった。
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発車を待つつばめ21号

新幹線の新八代駅は、ホーム2面に対して線路が4線の構造であったが、この時はまだ暫定開業時であることからホーム1面しか営業には使われておらず、そのホームを新幹線の線路と在来線の線路で挟み込むことで、博多から新八代を結ぶ在来線の特急リレーつばめ号と新幹線のつばめ号の対面乗り換えが可能となるような運用が行われていたことが印象的であった。
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ホームの様子

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駅名標

九州新幹線つばめ号に使用されている800系新幹線電車のデザインも趣向が凝らされており、乗る前からわくわくさせる。車両の基本的な走行性能については、既に東海道・山陽新幹線に導入されている700系新幹線電車とほぼ同一とのことで車両設計もそれに準じたものであるというが、800系新幹線電車はデザイナーによる大胆なアレンジが加えられているため、全くの新型車両であるという印象を受ける。
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つばめ号の車体ロゴ

乗蔵が、新幹線ホームでの写真撮影を一通り終えた頃、向かい側のホームには博多駅からやってきた特急リレーつばめ21号が入線。こちらの乗客たちの乗り換えを待って、つばめ21号はいよいよ鹿児島中央駅に向かって発車する。
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リレーつばめ号からの乗り換えをもって発車

つばめ21号が新八代駅のホームを滑り出すと、ポップなリズムが特徴の車内オルゴールが流れ案内放送が始まる。このポップな車内オルゴールは、ミュージシャンの向谷実氏が九州新幹線のために作曲したもので、新幹線とともに鹿児島中央駅に向かってのわくわく感も加速させる。
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列車の加速とともにわくわく感も加速する

また、全体的に和のテイストでまとめられた車内インテリアも落ち着きがあり快適な車内環境であった。
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和のテイストでまとめられた車内

つばめ21号は新八代~鹿児島中央間137.6kmの距離をわずか39分で走破。
北海道、小樽を出発して9日目。鹿児島中央駅に到着したのは19時28分のことで、あたりはすっかり暗くなっていた。
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鹿児島中央駅に到着した800系

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駅名標

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線路終端部を望む

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鹿児島中央駅新幹線改札口

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鹿児島中央駅舎


翌日からは、再び青春18きっぷの2枚目を使用し、11日間ほどの時間をかけて北海道への長旅が始まる。

乗蔵は、鹿児島中央駅を降り、路面電車へと乗り換え、この日の宿である東横イン鹿児島天文館へと向かった。ホテルに到着すると、大型の台風が九州地方に接近しているというニュースが飛び込んできた。このため、翌日は無事に小倉まで戻ることができるのだろうかと、予定していた行程がとても心配になってしまった。

翌朝になり、鹿児島中央駅に行ってみると予定していた列車は予定通りに発車するとのことだったのでとりあえずは乗車をし、小倉を目指すことにした。しかしながら、その後はこの台風の動向を気にしながら、そしていつ列車が運転打ち切りになってしまうのか、という不安を抱えながら乗蔵は、日豊本線を北上することになったのだった。

次回につづく。

<2004年8月28日の行程表>
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※列車時刻については当時のJTB時刻表で確認することが出来るもののみ記載
※路線に愛称名が付いている場合は愛称名を優先して記載
※乗車距離は営業キロをもとに算定

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